ジブリ映画でどれが一番好きか、と聞かれたら魔女の宅急便と答えます
理由は強烈な反面教師だからです
観たことがある方も多いと思うのですが改めてどんなお話か要約すると・・
なんの準備もせずに都会に出稼ぎにきた無知な少女キキが、その甘えから無謀なチャレンジをし失敗を繰り返して打ちのめされたことでメンタルをやられてしまい、唯一の特技である空を飛ぶ能力まで失い絶望している中たまたま人命救助をする機会があり、運良くそれがテレビ中継されていたことで多くの称賛を受け魔女としてその街で市民権を得る事に成功した
・・といった感じです
魔女が13歳で独立することはおそらく子供の頃から言い聞かせられていたはずです
でも事前にどの街に移住するか調べもせず思いつきで住む街を選びます
しかも魔女として色々な魔法を会得するチャンスがあったのにホウキで空を飛ぶことしか身に着けなかったのも見通しが甘すぎます
移住先も同じで、都会に打ちのめされ途方に暮れているところをたまたまオソノさんに拾ってもらうことで住む場所を確保できただけにすぎません
もうこの時点で行き当たりばったり感がすごいですね
さらにそこで価格設定もせずに宅急便サービスを始め、その道中で「予測できたであろう」突風に煽られ荷物を紛失してしまう体たらくです
その荷物も運良く見つけることができ飼い猫を身代わりにするというトリッキーな方法でどうにか事なきを得ますが、そんな綱渡りが毎度通用するはずがないことをマッタク学んでいません
その証拠に、のちの依頼時にカサも持たずに依頼宅に出向きその荷物の運搬の際に雨に降られビショビショに濡れてしまいます
その際荷物だけはどうにか濡らさないようにしますが、事もあろうか食べ物を自身の衣服の中に入れる始末・・
他人が懐に入れたものなんて食べられます?
まあ牧歌的な時代なら気にならないのかもしれませんが少なくとも私はムリです
そうして自身はビショビショに濡れながらも荷物だけは死守したのに、喜ばれるどころか手渡しの際に冷たい態度を取られてしまいます
そりゃそうですよね、いくら荷物が濡れていなくても配達人がずぶ濡れだとドン引きですしそれだけ濡れているのに荷物が濡れていないことに不信感を持つのが普通です
「こいつまさか懐に入れて運んできたのか・・」なんてギョッとするのが普通なのに、それを冷たくされたと落ち込み風邪を引いたこともあって魔法の力が衰えてしまいます
その結果飛べなくなり宅急便を休業しますが、普通に考えれば歩いて届けられる範囲でも小さく商売を続けるべきです
いつ飛べるようになるかもわからないのに商売休んでせっかくつき始めたお客を手放してどーすんの、と思ってしまいます
ホントに独り立ちする気あるのかな?
最終的には街の人気者になりますがそれもただ運が良かっただけです
たまたま訪れていたお宅にて友達の窮地をテレビで知ることができたのも偶然、覚悟を決めて飛ぶ力を取り戻したのは実力ですが上手くコントロールできない中でどうにか救助できたのも運の要素が大きいと思います
こうしてただ運がいいだけでどうにかハッピーエンドに滑り込んだ、といってもいい物語なんですよね
これが事業者の目線で見ると学びが多く面白いんです
またそんな彼女の甘えですがその原因は親にあるとも思えます
「あの娘飛ぶことしか覚えなかったんですよ!」なんて母親が老婆に愚痴るシーンがありますが、結局教え込めなかったのは親である自分たちの責任です
魔法で薬を作っているような描写がありますのでどう考えてもその能力を教え込むべきでしょう
そうすれば飛べなくなったとしても薬を作れば稼いでいけます
娘がどれだけ嫌がろうと心を鬼にして叩き込むのが親の役目ですし、そうしてあげないと生きていく力が身につきません
このあたりは「団塊の世代の親×団塊ジュニアの子供」の関係に似ているかもしれません
そんなこんなで見ていて反面教師に感じるシーンが目白押しで「これやっちゃダメ」なことが具体的に勉強できる大変意義のある映画だと思います
最近いろいろと話題の多い「地方移住」を考えている方も参考になるかも?
この夏にいかがでしょうか~
ではでは