ひとくち食べて目をつぶり、ゆっくり咀嚼して飲み込む
鼻から抜ける香りの余韻に浸りながらゆっくり目を開けて、次のひとくちへ・・
ホントに旨いものを食べると
ただただ、これを繰り返すだけの機械のようになってしまいますね
「味わうためだけのマシーンになった私」
お?なんか漫画原作の映画みたい
味を深く楽しむには視覚までも邪魔になることを知り
鼻から呼吸する度に芳醇な香りが鼻孔に広がってとろけそうになります
こういうものに出会うと完全に虜になってしまい定期的に食べに行く羽目になってしまうんだけど、それが楽しいんですよね
これぞ人生!って感じです
先日食べた京都北山マールブランシュのモンブランオートクチュールも
まさにこういった感動の出会いでした
スイーツに興味がない男性でも虜になってしまう味です
まず、モンブランの周りに渋皮煮を散らすんですけど
その渋皮煮に混ぜるラム酒を選ぶところから始まります
ラム酒が3種類、ノンアルコールのフレーバーシロップが3種類
この中からお好みを選ぶんですけど
オトナなら是非ラム酒を選んでいただきたい
※ラム酒はアルコールを飛ばさずに混ぜるので食べると車の運転はできません
3種類のラム酒はアルコール度数も熟成期間もそれぞれ違いそれぞれに香りやコクが違います
個人的には熟成の長いお酒が好きなのですが、そこはお好みで。
迷ったらボトルを開けて香りを嗅がせてもらいましょう
「大地を思わせる力強さの中にラム本来の華やかな香りが・・」
などと調子に乗らないように気をつけましょう
そしてモンブランの中身になる、メレンゲで固めたエアリーなムースの周りに
先ほどの渋皮煮を散らしてからモンブランクリームをかけていくんですが
この作業を目の前でやってくれるんです
自分のためだけに目の前でプロがケーキを作ってくれる・・
なんとも贅沢な時間です
出来上がるとこんな感じ
そして冒頭に書いたように口に運んで味わうことを繰り返す
機械になってしまうんですね
ウィーン、ガシャン、ウィーン、ガシャン、と脳内の作動音が鳴り響きます
ひとくち食べてため息が漏れ
またひとくち食べて眉間にしわがより
また食べて、あー、とか、うーとか唸ってしまいます
一緒に行った相手とも「これ旨いね」「これまじヤバイね」などと
ほとんど意味のない会話をしてしまいます
でも何事にも終りがあります
食べれば食べるほど減っていき(当たり前ですが)
最後の方は「ああ、まだ終わりたくない・・」と遠距離恋愛中のカップルのように名残を惜しんでしまいます
新幹線の発車ベルがどこかで鳴っているような寂しさ
ちなみに飲み物ですが
同時に紅茶やハーブティーを飲むのもいいんですけどモンブランを純粋に楽しむなら水でいいと思います
それで時々口内をリセットすると、また新鮮に楽しむことができるからです
別の香りを混ぜること無くただひたすらに堪能する・・
何も足さない、何も引かない
「お飲み物はよろしいですか?」と聞かれて「結構です」というと
ちょっと貧乏くさいような気もしますが
より楽しむためですから仕方ありません
周りの目は気にせずに喜びに邁進しましょう
ああ、また食べたくなってきてしまいました
京都に行かれた際にはぜひ一度お試しくださいね
ノックアウトされますよ