音楽とか、考え事とか

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日々考えたことを書いています。

コロナ禍のライブハウスが観客に救済を求めるのは、筋が違うんじゃない?

先日2年ぶりにライブハウスでライブを観てきたのですが、久々に行くと感覚がリセットされてるせいかその「サービス精神のなさ」が改めて目につきました

 

このコロナ禍で

 

・間隔も取らせずに列を作って入場させ

・ワンドリンクコインを渡し

・その支払い方法も現金or限られた交通系IC

 

といった感じ。

 

ZEPPなんば(大阪)での体験なので、他は違うのかもしれません

 

感染拡大の防止はイベント施設としての社会的義務ですが、商売の本音としては「ちゃんとやってるから来てね」という販売促進にほかなりません

 

 だったら、もうちょっと「ちゃんと」やったほうが、いいんじゃないかな

まあ屋外の行列なので、多少詰めて並んでも大した問題はないんでしょうけど。

 

そして相変わらず

 

「整理番号100番~199番の方はお進みください!」

スマホで電子チケットを表示させてください!」

「ワンドリンク600円が必要です!事前にご準備下さい!!」

 

なんてスタッフが大声で叫んでいるのはどうなの?

 

マスクをつけているからOK?

そんなことはありません

 

大声を上げれば上げるほど飛沫が遠くまで届きます

それはマスクをつけていても100%防げるものではありません

 

だから「ライブ中の大声は禁止!」にしてるんでしょ?

それをスタッフが破ってどうすんのよ??

 

マイクをスピーカーにつなげて落ち着いて話しかければいいんじゃないのかな?

なんて感じましたが彼らがそんな「感染リスク低減のためのサービス」をすることはありません

 

なぜでしょう?

 

 

ワンドリンク制度も相変わらずです。

 

※ライブハウスはワンドリンク代という名目の入場料を「チケット代とは別に」徴収し、支払わないと入場できません

 

人と人との接触を避けるためにチケットは

 

・電子チケットのみを採用

・その画面操作もお客自身にさせる

 

ようにしてるにもかかわらず

 

ワンドリンクは今まで通りコインを渡され、それを持ってドリンクカウンターで飲み物と交換します

そのシステムはコロナ禍前と一切変わっていません

 

唯一変わっていたのは金銭とコインの交換が「手渡し」ではなくトレーを使っていたぐらいです

 

でもそのトレーも一人使うたびに消毒するわけでもなく、ただ「直接指同士が降れない」程度の対策でしかありません

自分の前の人の手指にウィルスが付着していたらそれをトレー越しにもらってしまうシステムってことです

 

もちろん入場前にアルコールがおいてあり手指の消毒をお願いしていましたが、あくまでお願いでありその様子をスタッフがチェックしているわけでもありません

 

来場客の意識の高さに委ねる形なんです

 

これって実はけっこう危険で、例えば手が荒れているとアルコールが強烈に沁みるのでどうしても簡単な消毒になりがちです

 

そうでなくても消毒時の手のすり合わせが不十分な人も、けっこう居るのでは?

 

ならもういっそドリンクを「飲み放題」にしたらいいんじゃないの?

なぜかというと「酒類の提供をしていない」からです

 

※この「酒類の提供なし」も非常にわかりにくかった

 

大阪は緊急事態宣言中なので酒類の提供ができず提供するドリンクはすべてノンアルコールです

なら一人で何杯もガブガブ飲む人もいないでしょうから飲み放題でもなんら問題ないはずです

そうすりゃコインなんて必要なくなり接触による感染リスクを1つ減らすことができます(手間も減る)

 

法律上「飲食店」の建前でワンドリンクを強制するシステムでもこれならきっと問題ないんじゃないかな?(知らんけど)

 

でもそういったオペレーションの変更は面倒なので彼らはそんなことはしません

そのサービスで「感染リスクを減らせる」としても、です

 

なぜでしょうか?

 

 

ちなみにこのドリンク交換ですが一部の交通系ICが使えるようになっていたようですでもそれは入場口の壁に「告知イラスト」が貼ってあるだけで、列が進んでその前に来た時点で初めて気がつくんです

しかもその告知イラストは日に焼けているのか文字も記載カードも不明瞭で「何が使えるのか?」がよくわかりません

なんとか目を凝らしてみたところどうやらJR系のICカードなら使えるようでした

 

とはいえそんな直前になってから言われても、まあまあ困ります

 

「残高あったっけ?入場口でチャージできるのかな?」

「私鉄系のICならあるんだけど使えるの?」

「他の電子マネーは使えないのかな?」

 

なんて思ってもそばにいるスタッフは大声でがなり立てていてあんまり接したくないし、自分の番になってからモタモタすると後続の迷惑になり気が引けてしまいます

 

いや事前に調べとけよ、って?

 

実はそのアナウンスはサイトにもどこにも書いていません

 

電子マネー導入」のお知らせはサイトに告知があるんです

そこには交通系だけでなく様々な電子マネーが使えるとのことでした

でもそれが「入場時のワンドリンク」にも使えるかどうかの記載がありません

書いてあるのは「ドリンクカウンターでの『お支払い』に・・」となっています

 

入場時のワンドリンクは「カウンターで支払う」わけではないし入場口の告知イラストでは「JR系の交通ICのみ使用可能」になっていますので、電子マネーの導入って「2杯目以降のドリンクこと?」と勘ぐってしまいます

 

こんな中で、入場時にほかの電子マネーを使おうとするのはあまりにハードルが高すぎます

それぐらいライブハウスの入場時はスタッフが殺気立ってて「有無を言わせない」雰囲気があるんです

 

ヘンですよね?

お金をもらっているのにこの態度

 

なぜでしょう?

 

 

これらの答えは

 

「ライブハウスは『観客をサービス提供する対象』とは考えていない」

 

からなんです

 

その根底には「競争がない」という構造的な問題があります

 

ライブハウスに行くのはお目当てのミュージシャンのライブを観に行くのが目的なので、それが「どこのライブハウスか?」を選ぶ権利は観客にはありません

 

ライブハウスを選ぶのはあくまでミュージシャン側なんです

 

だからライブハウスはミュージシャンに対してサービスを提供しできるだけ「選んでもらおう」とするんですね

修学旅行の宿泊施設が生徒には大して旨くもない食事を提供しながら、晩になるとこっそり「先生方に刺身舟盛りをサービス」するのと同じ構造です

サービス対象はあくまで「選ぶ権利を持つ人たち」なので、そこでしか競争が起こらないんです

 

そう、観客はほったらかしってこと。

 

そうやって自分たちを「選んでくれたミュージシャン」に次回も選んでもらえるように「楽屋をキレイで快適」にしたり、気持ちよく演奏できるための「優れた音響、照明システムの構築」などを行っているのでしょう

 

でも提供してるサービスは実はこれだけではありません

ぼくたち観客にとって最も重要視すべきことは

 

・施設使用料を安く設定している

・そのツケを観客に負わせている

 

ということなんです

 

どんな商売でもそうですが選んでもらうためには「値引きが手っ取り早い」と考える経営者は数多くいます

ミュージシャン側に提示している施設使用料もその施設の「維持管理費」から考えると安すぎるんだと思います

 

だから足りない分を「ワンドリンク代」で補填しているんですね

 

例えば上記の「ZEPPなんば」ならキャパが2500人ぐらいなので

2500人×600円=150万円の売り上げが、ライブごとに入ります(チケットが完売なら)

 

※2019年9月からワンドリンクが500円→600円に値上げされています

 

それが1か月続くと150万円×30日=4500万円/月の売り上げになります

 

なかなかスゴイ額ですね

 

ライブハウスはこの売り上げを前提として施設使用料を設定し経営しています

だから600円で500mlのペットボトルを売りつけるような「ボッタくり商売」を平気な顔で続けていけるんです

 

そんな商売をやっておきながら

 

「コロナ禍で経営が成り立たないので支援をお願いします」

 

なんて観客側に訴えるのは筋が違っていませんか?

お願いするならどう考えてもミュージシャン側に、でしょう

 

今までなんのサービスも提供してこなかった対象に「大変だから助けて」なんていくらなんでも虫がよすぎる気がします

 

「ライブハウスがなくなるとミュージシャンが育たない」

「このままでは音楽文化が死んでしまう」

 

と本気で考えるのなら商売の原点に立ち戻って健全な経営を目指したらどうかな?

 

本来ならドリンク代の売り上げも「施設使用料」に加算してミュージシャン側から支払ってもらうべきでしょう

そうすればワンドリンクを200円ぐらいに設定できそうです

 

でもそんなことは絶対にしません

なぜなら(繰り返しになりますが)サービス対象が観客ではなくミュージシャン側だからです

 

観客を炎天下の中並ばせようが高額な入場料を徴収しようがお構いなし、それがライブハウス業界の基本的なサービス理念なんです

 

いや、現場のスタッフはみんなまじめに頑張っていると思うんです

問題にしているのはシステムのお話。

 

さらにこれはチケット転売問題も生み出しています

 

ミュージシャン側もまたこの「安い使用料」を前提にした「安い価格」でチケット販売をするので、そのせいで高額転売問題が起きているんです

数量が限定された「人気のある安い売価のもの」は必ず転売されます

これを防ぐにはキャパ数が決まっているライブでは「チケットの適正価格での販売」が本来の対策だと思います

でも「俺たちはこの金額で観てほしいんだ」なんてキレイな言葉でごまかして、真っ当な商売をしようとしません

 

そのせいで観客は

 

・倍率が高すぎてチケットが全然取れない

・入場時に高額なドリンク代を支払わされる

 

というシステムのしわ寄せを押し付けられています

 

商売の基本は「1円でも高く売る」ことでありそのために「いかに価値を高めるか?」に知恵を絞るのが経営です

そうやって高い金額で買ってもらうことができれば関係者のフトコロも潤います

潤えば人はそのお金を必ず使いますので、消費が拡大し、設備投資もしたりして、音楽業界の経済が好循環していきます

 

でもこんなことを言うと

 

「そんな高い金額だと買えない人が出る!」

 

という人が必ず出てきます

 

でもそれを買えるように頑張って稼ぐのが本来の姿じゃないの?

この循環が理解できない人はアタマが完全にデフレ脳になってますよ

 

それでも百歩譲ってお金のない学生を救済するのなら「学生100人無料招待」の枠を設定してその分をチケット代に乗せればいいんです

それでチケット価格が高くなってもその経緯をきちんと説明して納得を得ることができれば何の問題もありません

 

でも多くの人がそれをメンドウに感じます

 

なぜなら必ず批判が起きますしSNSで炎上するかもしれません

今までと違うことをするとチケットガイド側に支払う手数料も高くなるでしょうし、場合によっては独自でシステム構築が必要になるかもしれません

そういったリスクや手間を避けるためこれといった対策を取らずに「安易な安売りがいつまでも続く」のが音楽業界の構造的な問題だと思うんです

 

普段から大きく稼いで余裕を持っておかないと今回のコロナのような「緊急事態」を乗り越えられずどうしても給付金や寄付などの「救済頼り」になってしまいます

 

でも考えてみてください

 

ライブを観る観客はチケットを買う際にチケット代以外にも「高額な手数料」を支払い、発券するなら「発券手数料」も支払い、さらに入場時に「高額なドリンク代」まで支払わされています

 

その上さらに寄付まで募るのってどうなのよ?

 

 

長くなってしまいましたが、要するに言いたいのは

 

「助けてほしいならちゃんと商売してよ、ちゃんとサービスしてよ」

 

ってことです

 

よろしくお願いしまーす

 

ではでは