書くのが遅くなってしまいましたが、先日サカナクションの暗闇ライブに行ってきました
これは愛知の芸術祭に「音楽作品」として出展する形で「通常とは違う」ライブを行ったもので、完全暗転で「真っ暗闇の中でライブを楽しむ」というぶっ飛んだ企画でした
僕が参加したのは 2019.8.7 の夜の部で全7公演の第一発目。
まだ誰も体験していない中の限られた情報の中、ドキドキしながら参加した方が多かったと思います
事前に「白い服はダメ」という公式のアナウンスがあり、参加者のほとんどが黒い服を来ていたのもちょっと異様な雰囲気でしたが、
その最初の公演「後」には「服は白でもOK、でも暗闇で光る蓄光はダメ」のようにアナウンスも変更になり「実験的なライブを手探りでやってるんだなー」というのがよくわかりました
んでどうだったのかというと、ぼく個人の感想としては「とにかく心地良い!」という印象でした
改めて考えてみると「完全な暗闇」を体験することは日常生活ではなかなかありません
夜でも街には何かしらの光があるし、人工の光がなくても空には月や星が光っています
家でも、寝室の電気を消しても窓からうっすら光が入ってくるし、雨戸を閉めても時計の針やスイッチ類のほのかな光などがあり「完全な暗闇」でないことが多いんですよね
※日常で意識的に暗闇を作るなら風呂場がカンタンです
だからまず「暗闇を体験する」事自体がかなり新鮮です
完全暗転すると隣の人どころか、顔の前に伸ばした自分の手のひらですらマッタク見えない。
その上、いま自分が「目を開けているのか閉じているのか」もだんだんわからなくなっていきます
だからといって不安になるわけでもないのがすごく不思議。
ただジッとして辺りの、というか暗闇という空間の様子をうかがう感じです
照明が落ちて完全暗転した瞬間には、ぼくも含めて周りから「息を呑む雰囲気」が伝わってきてました
その後、構えて、昂って、そのあと意識が闇に溶けていくという「緊張→興奮→弛緩」というプロセスを経たように思います
そのまま延々と暗闇が続けばだんだんと目が慣れてくるはずなのですが、そこはさすがのサカナクション。
いざ演奏が始まると大型スクリーンが閃光のように光ったり、稲妻が走ったり雨が降ったりしてなかなか暗闇に目を慣れさせてくれません
そして、そういった映像が消えた瞬間には、それまでよりも「より暗闇が強まる」ような印象でした
そうやって真っ暗闇の中で音楽を聴いていくうちに「この感覚、なにかに似てるな」と、自分がイロイロと記憶を探りながら聴いていることに気づきました
こういった「思考に潜らせる」のも暗闇の効果なのかもしれません
そして気づいたのは、この感じって「睡眠中に耳だけ覚醒」して周りの会話が聞こえているときに近い感覚なんです
うたた寝しているときなんかによく起きるんですが・・
意識としては寝ているんだけど周りの声がなんとなく聞こえていて、あとから起きて思い出すと会話の内容を覚えていたりする、あの感じです
睡眠という「意識の暗闇」にいながら耳から音だけが聞こえてる感覚が、今回の暗闇ライブにすごく近いと思いました
これを意図的に作り出されると、なんだか心地よくて安心できるんですねー
ホントに気持ちよかったです
そして、油断してるとウッカリ寝てしまいそうになります・・
暗闇の中で「目を開けてるか閉じてるか」がわからなくなると、だんだんと「起きてるのか寝てるのか」も曖昧になっていくようです
でもそれも心地いいんですよね。
眠りに落ちてしまいそうになるような、安心感に包まれる、意識と無意識の境界が曖昧になるような・・
とにかく気持ちのいい不思議なライブでした
演奏自体の感想はというと、もう公演も終わってるしネタバレしてもいいと思うので書きますが・・
「既存曲の演奏はしない」というアナウンスがあったものの「茶柱」「ナイロンの糸」がリミックスバージョンで披露されました
「歌モノはない」と思っていたので、これは嬉しかったですねー
他はインスト曲で、その曲に合わせた映像表現があったり、最後のパートでは完全暗転のままだったりして、ライブというよりアートに近い感じ。
まあ、芸術祭ですしね。
あと、他の方のレビューを見てると「実際にお茶を焙煎して香りの演出」があったそうですが、それは全く気づきませんでした
僕はかなり上の階の席だったのでそこまで香りが届かなかったのか、もしくは公演を重ねていくうちに新たに加えた演出だったのか、そのあたりはよくわかりません
何にせよ相変わらず面白い体験をさせてくれるサイコーのバンドです
このチャレンジが次のツアーにもきっと生かされるハズで、それが今から楽しみで仕方ありません
これからも信じてついていきます!
ではでは