音楽とか、考え事とか

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日々考えたことを書いています。

目で見たことがアタリマエになる

 

先日、想像力の低下についてエントリを書きましたが

 

rikutukoneo.hatenablog.com

 

書きながら脳内で全く別のことがリンクしました

「なぜ同じような事故が連続するのか?」という問いのヒントになるかもしれません

 

逆走事故は昔も稀にあったはずですが、そんなニュースをここまで「立て続けに」見た記憶はありません

ネットの普及で「地方の事故まで目にするようになった」という背景もありますが、どうもそれだけとは思えない・・

 

「アクセルとブレーキの踏み間違い事故」もそうですが、最近は「とんでもない事故」が一度起こると同じような事例が連続するような印象です

 

昨今はドライバーが高齢化している、というのは一定の説得力があります

といっても高齢ドライバーは昔からいたはずだし、その比率がいくら高まったとはいえ、同じ事例が連続する理由としては少し弱いと思うんです

 

これって「目で見たことをアタリマエとして認識した結果」なんじゃないかな?と考えています

もちろん、ぼくの想像による持論に過ぎませんが。

 

「ペダルの踏み間違い」や「道路の逆走」レベルの失敗は、その可能性がゼロでないにしても「そんなアホなことするか!」と誰もが思っているはずです

百歩譲ってもし起こるとしても「自分は大丈夫」と考えている人が大半でしょう

 

でも実際にニュースで見て、現実のものとして認識した結果、行動が認識に引っ張られる人が出てくるんだと思います

 

でないと連続する理由が説明できません。

 

事件なら模倣犯ということになりますが、事故を「意識的に」模倣する人なんていませんよね

 

そうではなく、映像などを目で見ることで「現実に起こる出来事」として意識に刻み込まれ、それが脳内で「動作の選択」の可能性のひとつになってしまい、そんなつもりはないのにふとしたタイミングで無意識に模倣してしまっているように感じるんです

 

それぐらい「目の当たりにする」ことはインパクトがあるってことなんでしょう

 

 

脳内でリンクした別の例をあげます

 

陸上男子100mの記録は現在9秒58、2009年の記録ですからもう10年前なんですねー

 

人類で初めて「平地で」「電動計時で」10秒の壁を破り9秒台に突入したのはカール・ルイスで、1983年に樹立しました

 

では10秒00に到達したのはいつか?というと、実は1960年なんです

つまり、0.1秒の壁を破るのに20年以上かかったということになります

 

なのですが、一旦破られる次々に突破する選手が現れ、数年後のオリンピックではファイナリスト全員が9秒台の記録保持者になりました

 

これには「トラック(地面)の改良」「科学的トレーニングの確立」「高性能スパイクの開発」「選手のプロ化」が原因として挙げられ、おそらくですが「検査に引っかからないドーピング剤」の存在もあるんでしょう

 

でもそれだけが理由とはどうしても思えません

こういった技術の向上などは順番に起こるもので、それなら記録は右肩上がりになるはずだからです

 

でもそうはなっていない。

 

10秒00で20年以上も停滞していたのに、たった一例をキッカケに業界全体にブレイクスルーが起きているんです

その「現実」を目撃したことで、世界中のアスリートやコーチがそれまで持っていた「必ずできるはずだ」という信念が「実際に可能なこと」という認識にシフトし、9秒台を出す選手が続出したんだと思います

 

認識するということは「言い訳できない状況」になるということです

 

実はカール・ルイスが壁を破るまでにも「手動計測」「高地記録」では9秒台が出ています

でもそれらを目にしても「手動は誤差もあるし・・」「高地は記録が出やすいし・・」と言い訳することができたんです

 

これが実は最大の壁のような気がしています

 

※高地は空気抵抗が弱いため短距離走には有利に働くそうです

 

それがついに「平地で」「電動計時で」破られたことで言い訳ができなくなり、それぞれの気持ちに革新が起きたんでしょう

 

子供でもそうです

 

プロ選手のすごいプレーを見ても憧れるだけですが、同世代の「すげえ奴」を目にした時に本当の意味でホンキになるんですよね

 

 

事故の話に戻しますが

 

自動車事故の他にも建設現場での落下物事故、転落事故など、「模倣するはずない」のに「連続して起こる事例」をニュースで何度も見ています

そうなると当然「どうすれば防げるのか?」という話になるのですが、これってもう「それぞれが用心する」しかないと思うんです

 

だって認識が原因なんだから。

 

建設現場なら何らかの対策の取りようもありそうですが、逆走なんて今のところ技術で防ぎようがありません

だから高速道路の出口やサービスエリアにはデカデカと「大げさ」ともいえる警告看板が増えているんですね

 

効果的な対策はAIの進歩ぐらいしかなさそうですが、まだしばらくかかりそうなので「自分の身は自分で守るしかない」ってことかな

 

こういった「とんでもない間違いによる事故」が起こると「気をつけよう」と考える人と「自分には関係ない」と他人事としてしか捉えない人がいます

「そんなバカな間違い自分には起こらない」と何の根拠もなく思い込んで、意識することすら面倒臭がる人が必ず一定数いるんです

 

意識しないことで無意識下に刷り込まれてしまう・・

 

”これまで大丈夫だったから、これからも大丈夫”

 

この考え方は本当に危険ですね

 

ではでは