また今年も年末フェスのシーズンがやってきました
ぼくは、大阪でやっている年末フェス「RADIO CRAZY」(以下レディクレ)に毎年参加しているのですが、フェスに行くといつも「なにやってるんだ?」と不思議に思う光景に出会います
レディクレは「こたつエリア」というこたつに入ってくつろげるスペースがあり、寒~い冬フェスには大人気です
ここで豚汁やぜんざいを飲むと旨いんですよね~
ただ、開演時間になりフェスがスタートして各ステージで熱い演奏が繰り広げられているにもかかわらず、このエリアで爆睡している若者を毎年見かけます
それも、ステージを見終わってから通ってもまだ寝てる、その次に通ったときは起きてるけどスマホを触っている・・
そうやってこたつを独占しているのをホントによく見かけるんですよね
「一日9千円も払って昼寝しにきたのか?」なんてのは大きなお世話だと思いますが、これ、昨今の若者の音楽の楽しみ方を表しているんだと思うんです
フェスは見本市なのでいろいろなアーティストを観て楽しみ、気に入ったら音源を手に入れたりワンマンライブに参加するのが王道の流れでしょう
全く知らないアーティストとの出会いがあったり、なんとなく観に行ったステージで心を掴まれるのが、フェスの楽しみ方だと思うんです
でもそうやって昼寝をしている若者は「知ってるアーティスト」しか見ないんでしょう
グッズを買いたいから朝から入場したものの、お目当てのステージまで時間があるので、何をするでもなくこたつで時間を潰しているんだと思います
いやまあ、自分のお金で参加してるんだから好きにすりゃいーんですけど「時間をムダにしてるな~」といつも思ってしまいます
また、以前にサカナクションの山口一郎さんがおっしゃっていましたが、最近のフェスリスナーの傾向として「とにかく知ってる曲を演ってほしい」という雰囲気を感じるそうです
「別にゆったりした曲でもいいんだけど知ってる曲にしてね」「聴いたことのないアルバム曲なんてカンベンしてね」という要望をステージ上からひしひしと感じるんだとか
これらを合わせて考えると多くの若者が「すでに知っているアーティスト」の「すでに知っている曲」を聴くためにフェスに参加しているということになりますね
知らない曲だと、気にいるかも知れないし退屈するかもしれない、そんな不確定要素をとるぐらいならいつもの曲で「予定通りの満足感」を得たいってことなんでしょう
まさに失敗できない時代の若者たちの感覚です。
でも「いつもの曲」で「いつも通り盛り上がる」だけでは自分の世界は全く広がりませんよね
そうやって予定調和内でウェイウェイ言いながら、世界を広げることも掘り下げることもなく浅く浅く音楽を楽しんだ結果、ある程度の年齢になると音楽から離れてしまうんでしょう
このスパイラルをどうにかしないことには音楽業界はジリ貧だと思うんです
そしてそれを担っているのはステージ上のアーティストだと考えています
曲を売る時代は終わりつつありますからライブで稼ぐしかないのですが、その入口であるフェスで定番曲と最新曲だけ演っててもダメなんじゃないかなー
かといって知名度の低い曲をただ演奏するだけでは「こんな曲知らないよ」となってしまうので、演奏前にMCで楽しみ方を教えてあげる必要がありそうです
「いや、音楽に説明なんかいらないだろ」「聴けば良さはわかるし、わからないなら別にいーよ」
という意見は至極真っ当で、ぼくも正にその通りだと思います
でもそれができない若者が増えていることを理解すべきだと思うんです
子供の頃からネットに親しみ、世の中のあらゆる情報を見て、わからないことは検索すればいくらでも答えが見つかります(正しいかどうかは別にして)
そうやって育ってきたネットネイティブは何かを考える力が弱く、想像力も創造力も育ちにくいんです
だから「いま初めて聴く曲」の良さをその場で理解したり、理解できなくてもなんとなく音に合わせてノることができず「どうやって楽しめばいいのか?」がわからないんだと思います
ここを何とかしていかないと先はなさそう。
昔の職場では「やり方は見て覚えろ」がアタリマエでしたが、いまは丁寧に教えてあげないとさっさと辞めてしまいます
同じことがあらゆるシーンで起こっていると思うんです
これまでは「聴いてもらえば良さはわかってもらえる」だったのも、これからは「良さを噛み砕いて伝える」のが必要なんじゃないかな?
音楽が「作品か?商品か?」は永遠のテーマだと思うのですが、より商品よりになってきているということなんでしょう
寂しい話ですがこれも時代の流れです
メンドクサガラズニガンバリマショウ
ではでは