「カブキブ!」という小説の最新刊を読みました
現在5巻でまだしばらく続く感じです
どんな物語かというと
歌舞伎好きの高校生がカブキ部を立ち上げ仲間集めに奔走し、集まった仲間と稽古して文化祭などで講演を打っていきます
その度に問題が起き、振り回され、悩み、挫折しそうになりながらも、みんなで力を合わせて乗り越えていくという青春部活ドタバタ物語
ジメッとした部分も少しありますが、概ね爽やかで疾走感のある小気味いいテンポの、読んでいて楽しくなる小説です
ライトノベルになるんでしょうか?
んで本題
4巻から主人公が2年生になり新入生が入部してくるのですが、その中に関西出身男子がいるんです
関西弁自体は言葉遣いも自然でシッカリと校閲されている感じ、読んでいてヘンな違和感は感じません
ただ少し残念なのは「このシーンでこんな言葉遣いするか?」というのが多々見られるんです
そういうキャラと言ってしまえばそれまでなんですけど、設定されているキャラ付けともいまひとつ合致していない感じがするんですよね
5巻で「関西男子くん」が一年先輩の「梨園の御曹司くん」と会話をするシーンがあります(ネタバレはないのでご安心ください)
ここで男子くんはタメ口に近い言葉遣いで話します
全くのタメ口ではないにしてもところどころ敬語を使ってない関西人特有の話し方です
ネイティブ関西人によく見られる傾向なのですが、年上でもすごく気心がしれていたり(信頼していてすごく仲がいい)、逆に敵意を持ってけんか腰に話すときはこういった言葉遣いをします
他には相手のことを(年上でも)自分と同等レベルと格付けしていたり、完全に下に見ている場合なども同じような話し方をします
ですがこの二人の関係は、そのどれにも当てはまりません
接点はほとんど無く過去に話したのは一度きり、歌舞伎の初心者である自分に対して相手はプロの歌舞伎役者なので格上も格上、しかも以前にその演技に魅了されたことがあります
気心もしれていないし格付けが明らかに上の相手なので、この関係性でタメ口っぽい言葉を使うのはどうも不自然に思えます
また男子くんはその「過去一度の接点」の際にバカにされたと感じているので御曹司くんに対していい印象を持っていませんが、問題のシーンは静かに話しているのでけんか腰というわけでもありません
僕の感覚的にはフツーに敬語で話すシーンなんですよね~
腹が立つ相手なんだけど素晴らしい役者でもあるので、尊敬や反発心を抱きながらも敬語を使う場面だと思うんです
そのへんの微妙なニュアンスに違和感を感じたのでいろいろ考えてみたのですが、「全国向けの関西弁」と本場のそれは別モノなのか?と思いつきました
2016年のデータで日本の人口が126995千人、近畿5県の人口が20688千人ですので
いわゆる関西人は全体の16.3%にすぎません
関西弁が最も有名な方言であることは間違いないと思うのですが、数で言うと全体の2割にも満たないマイノリティなんですね
だから何か作品を作る際にはマイノリティである「本場」よりも、マジョリティである「それ以外の地域」を意識するんでしょう
そうでないと巷にあふれる「気持ち悪い関西弁」の説明がつきません
関東にも関西人はたくさん住んでいるはずですし制作スタッフの中にも居るはず、百歩譲って周りにいないとしても関西の知人と簡単に連絡が取れる時代です
いくらでもチェックしてもらえるはずなんです
イントネーションはかなり難しいようなので映像系は仕方ないにしても、文章系の不自然さもけっこう目につきますので「チェックした上でアレ」ってことなんですよね
関西人同士でも出身地が違えばコトバも違うのですが、それとは別次元の違和感です
「だからダメ!」なんて言うつもりはありませんが、不自然さを感じると物語の世界から現実に引き戻されてしまうので、すごく残念に感じるんです
「このキャラの性格ならここでこんな言葉遣いはしないだろう」というのはほんとうによく見かけます
僕は関西弁のことしかわからないのですが高知とか広島の方もきっとそうなんじゃないかな?
長々となりましたが「とにかく気になる」というお話でした
ではでは