先日書いたように相変わらず「まんぷく」を観ているのですが
最近になって新たに気づいたことがあります
※ネタバレもありますので録画してまだ観ていない方はご注意ください
これまで観てきた中では一貫して「高齢者対応」したドラマだな~と感じていました
戦時中や戦後の大変な時代に一生懸命生きる姿は、その当時を体験した人なら深く共感できるはずだし、どのエピソードも「困難があっても努力はいつか報われる」というメッセージをひしひしと感じる展開で、これまた高齢者(日本人みんな?)の大好物です
まあ視聴者層は高齢者が大半でしょうからアタリマエの戦略だと思いますし、ぼくもそういうものだと思いながら「高齢者の好み」をリサーチするような気持ちで、楽しみながら観てきました
商売をやってる人間にとって、こういう「大多数が望むもの」を知っておくことはすごく重要なことなんです
なのですが、ここにきてちょっとメッセージが変わってきたように感じてきました
※ここからネタバレです
主人公の夫である発明家の立花萬平(たちばなまんぺい)さんは「世の中の役に立つ仕事がしたい」という信念の元、それまで世の中になかった栄養食品を作って栄養失調の人々を大勢救ってきました
その後いろいろあって池田信用組合の初代理事長に就任するのですが、それも「地域振興は池田のため、大阪のため、ひいては世の中のためになる」というキラーワードに心を動かされたからです
ですが、そうやって地域振興の仕事をしていくうちに「これが本当にやりたかったことなのか?」という自問を繰り返すようになっていきます
そんな中、信用組合の融資先のひとつで「まだ世の中にない新しいものづくり」に関わる機会があり、その将来性ひ心を奪われ、本来よりも大きな金額を融資するだけでなく、現場作業も手伝ったりとドンドンのめり込んでいきます
そして、のめり込みがエスカレートし視野が狭くなることで冷静さを失い、その「まだ世の中にない商品」の開発のため自身の自宅を抵当に入れてしまうんです
でも新商品がそんなカンタンに開発できるわけもなく、泥沼のように際限無く追加融資をしていくうちに、信用組合が借り入れている銀行の方針変更により抵当に入れた自宅を差し押さえられます
そして今まさに理事長という地位も失おうとしているんです(今週の話がここまでです)
それまで全く関係のなかった他社の商品開発のために自宅を抵当に入れるなんて、どう考えてもフツーじゃありません
でも萬平さんはもの作りの現場に触れることで「理事長職が本当にやりたかった仕事ではない」事をハッキリと自覚してしまい、それでも生活のために今の仕事を続けている後ろめたさから、自身の気持ちにブレーキをかけることができなかったんです
とはいえ信用組合の理事長も「世の中の役に立つ仕事」ですよね?
なのにどうして「本当にやりたい仕事」ではなかったのでしょうか
それは、萬平さんが本当にやりたいのは「世の中の役に立つ」ことではなく、自身のアイデアによってそれまで世の中になかったものを「発明」することであり、その発明によって「世の中に認めてもらう」ことだからです
だから世間体のいい理事長職について安定した生活を送っていても、心から満足することができなかったんですねー
この一連の流れに込められたメッセージは「本当にやりたいことに気づくのは難しい」です
本当に自分がやりたいことを、言葉で説明できるほどハッキリ自覚するのは本当に難しいことなんです
だから本心よりもずっとずっと手前にあるタテマエに騙されてしまうんですねー
そういったことををまざまざと見せつけられる展開でした。
高齢者対応ドラマかと思ってナメていたのですが、予想外に深いテーマを突きつけられ妙に心地良い感じです
これからの展開がますます楽しみになってきました
NHKもなかなかやるな!
ではでは