音楽とか、考え事とか

音楽とか、考え事とか

日々考えたことを書いています。

災害ボランティア初参加の方に役立ってほしい超初心者用の服装、持ち物など(西日本豪雨災害 倉敷編)

先日、西日本豪雨被害の大きかった倉敷市真備町にボランティアに行ってきました

 

休日に特に予定がなかったのが最大の理由なのですが、これからも身近で起こるかもしれない「災害の現場」を肌で感じておきたかったんです

 

今回初めてボランティアを体験しましたので、その際に感じたことを書いておきます

たった一日参加しただけの意見ですが、参加を考えている未経験者に役立てば幸いです

 

真備町での体験を元に書いていますので現場が変われば相違点もあるかと思います

 

□移動方法

やはり移動は公共交通機関が望ましいと思います

 

新倉敷駅~ボランティアセンター間は無料の送迎バスが用意されています

 

現地は路肩が崩れたりして道路が狭くなっている箇所があり、そこに自衛隊の車両、ボランティアを輸送するバス、現地の方々の車などが通過することで慢性的に渋滞しています

交通費や荷物などを考えると車で行きたくなりますが、そこはグッと堪えるべきだと感じました

もしくは、いくつか離れた駅に車をパーキングして、そこから新倉敷駅までを電車移動にしてもよさそうです

 

なんにせよ「復旧活動の妨げにならない」ように心がけるのが大事だと思います

(高速道路料金免除については後ほど)

 

□当日の流れ

 

倉敷災害ボランティアセンターのツイッターにわかりやすい流れが記載されていますので転記しておきます

 

f:id:rikutukoneo:20180722103629p:plain倉敷市災害ボランティアセンター (@kurasyakyo) | Twitter

 

新倉敷の駅に無料送迎バスが待機していますので、それに乗り込みボランティアセンターまで移動します(平日なのに乗り切れず次便を待ちました)

そこでボランティア活動の登録のため個人情報を記入しますが、これが長蛇の列になっており平日にも関わらず20分ぐらいは並びました(土日だともっと時間がかかるかも)

 

その後、活動に関する心構えをレクチャーしてもらい(10分程度)バスに乗り込んで現地へ移動します

(この際に座った場所で自動的に5人グループに分けられ、リーダーを決めます)

 

現地につくとその地域の活動本部のようなテント(これがサテライトです)に歩いて移動し(すぐそこです)、そこでリーダーが受付に並び向かうべき現場を割り振ってもらいます

この場所でも15分ほどの待ち時間が発生しました、土日はもっとでしょう

 

その後、テント脇に置かれている角スコップなどを借りて割り振られた建物まで歩いて移動します(5分程度でした)

現場に到着するとその家屋の関係者がいらっしゃり、その方にお願いされた作業を黙々とこなすことになります

20分活動して10分の休憩を取りますので1時間のうち活動時間は40分です

現場到着が11時前ぐらいで13時には作業終了ですので、実質的な活動時間は80~100分程度でした

 

13時になると全員でまたテントまで戻り、借りたスコップを返却し、長靴を洗浄して、キレイな水で手を洗うとスタッフ(この方々もボランティア?)が殺菌までしてくれます

その後バスに乗り込んでセンターまで帰り、それでその日の活動は終了です

ボランティア活動証明書や高速道路無料措置の書類などはこのタイミングでもらうことができます

 

手続きや待ち時間がアレコレ発生するため朝から参加しても80~100分ほどの作業しかできず、13時半頃にはセンターに戻ってくる感じになります

ひどい猛暑で熱中症対策のため13~16時の最も暑い時間の作業を避けるための措置でしょう

体力に自信がある人は「もっと活動したい」と思ってしまいますが、いろいろな方が参加してるので仕方ないと思います

 

□実際にどんな作業をするのか

 

その現場によってそれぞれだとは思うのですが、基本はその建物の関係者が「してほしいこと」をお手伝いする形です

基本的には床下の汚泥さらい、家具や畳などの搬出や洗浄、壁の洗浄や殺菌、といった感じです

 

畳なんて生まれて初めて運びましたが、めちゃめちゃ重いんですね

今回は浸水していない2階からの搬出で畳は乾いていたのですが、それでも相当な重さでした(30kgあるとか)

また床下に潜り込んでひたすらスコップで汚泥をさらうのも、なかなかの重労働で信じられない程の汗をかきます

汚泥は40センチほど積もっており掘っても掘っても土台のコンクリが見えてきませんし、土のうに詰めると相当な重さになりそれを運ぶのもかなりの大変です

 

男性は基本的に「力仕事をする」と思って現場入りするほうがいいですね

女性に混じって家具の洗浄をしてもいいのですが、他の男性がみな重労働をしているのに自分だけラクをしているような引け目を感じてしまいそうです

 

体力に全く自信がない方は1か月ほど筋トレやジョギングをして、体力作りをしてから参加しても遅くないのかもしれません

 

□服装

 

こちらの専用サイトに詳しく載っているのですが

 

peraichi.com

ツイッターにもさらにわかりやすい改訂版が掲載されていました

 

https://pbs.twimg.com/media/DiggTC_UYAAAX44.jpg:large

倉敷市災害ボランティアセンター (@kurasyakyo) | Twitter

 

まさにこのまんまですが、現場で感じたことを記載しておきます

 

行く前は「ゴーグルなんているかな?」「踏み抜き防止に鉄板入りの靴なんて大げさでは?」なんて思っていましたが、全てが必要な装備です

 

現場の家屋には濁流があらゆるものを流し込み木片や鉄クズが埋もれていますので、それをかき出すためには相応の装備が必要ってことですね

手袋も軍手や園芸用のものでは不十分で「突刺し防止用」のごついゴム手袋が必須、靴も長靴が基本でそれに「踏み抜き防止中敷き」を敷くのがいいと思います(僕はそうしました)

長靴は履き口をしぼって密封できるタイプがベスト、靴内部にモノが入り込まず作業後に長靴を洗浄する際にも便利です

 

帽子も必須で、ヘルメットのほうがより安全とのことです

ツバの大きなハットは動きづらいので小さ目のハットかキャップがよさそう、ぼくはキャスケット(マリオが被ってるヤツ)を後ろ向きに被って作業していました

 

長袖長ズボンは通気性が良く速乾性のものがいいでしょう

すでに発生から2週間が経過しており、泥が湿っているとはいえ衣服に浸水してくるほどではありません

それより信じられないぐらいの汗をかきますのでそちらの対策を重視してください

ナイロン系の服を着ている方もいらっしゃいましたが暑さでバテバテになっていました

手足はゴム手袋と長靴で通気性がゼロなので、体幹部分はできるだけ熱を放出できるものが向いています

 

□持っていくもの

 

基本的に全てのものを持参します

食べ物や飲み物も自分で用意してください

 

とくに食べ物は倉敷入りしてから調達するのは難しいので、自宅周辺や乗り換えの大きな駅で手に入れてください

 

また、現場では荷物をそのへんに置いて作業をしますので、貴重品はカバンには入れず身につけるようにしてください

ズボンのポケットはファスナーなどで閉じることができないと、入れているものを作業中に紛失する恐れがあります

 

センターでも貰えますがゴミ袋を2~3枚持っていくと便利です

 

現場でカバンを置く際に使ったり、作業後の着替えや長靴を入れるのに使用します

現場に持ち込んだものはすべて雑菌がついていると思ったほうがいいので、脱いだ作業着をひとまとめにしておき帰宅したらすぐに洗濯するべきだと思います

 

そういえば着替えってどうするんでしょう?

 

ぼくは男なのでそのへんで着替えましたが女性はどうするのかな??

上着を脱げば泥汚れからは開放されますが中に着ているものは汗でグショグショなので、そのままにしておくと風邪を引いてしまいます

そのあたりはボランティアセンターに確認が必要ですね

 

とにかく暑いので凍らせた飲み物は必須です

 

僕は500mlのポカリを6本凍らせていきました(計3L)が多すぎるということはありませんでした

むしろ思ったよりも溶けるスピードが遅かったので「4本凍らせて2本はそのまま」のように調整が必要だと感じました

僕が居た現場では隣のドラッグストアのトイレがお借りできましたし、すぐそばになくても歩いてテントまで戻れば仮設トイレがあります

トイレを気にして水分を控えるとマジでヤバイので水分はガンガン摂りましょう

同時に栄養も摂取できるスポーツドリンクが最適だと思います

 

食事はゼリー系がベストだと思いました

 

僕は三角形の(真ん中を開封するタイプ)いわゆる「コンビニおにぎり」を持っていったのですが、このタイプコンビニおにぎりって素手で持たないと食べられないんですよね

ゴム手袋の中でふやけた手をウェットティッシュで拭いても、やはり衛生的に少し気になりました

それなら蓋を開けて咥えるだけで摂取できるゼリー系は便利だなーと、飲んでいる方を見ていて感じました

また夏フェスでもよくある「空腹は感じないのに食べればいくらでも入る」という状態になります

慣れない現場作業で気が張っていますし、ポカリである程度の栄養も摂取できているので「お腹空いたな」と感じないんです

でも食べないとヤバイので、休憩の度になにか口に入れるぐらいでちょうどいいと思います

 

タオルは汗を拭くというよりも濡らして首に巻き体温を下げる用途に使う感じです

なので濡らして振ると急激に冷える「クールコアタオル」が便利でした

 

こういうやつですね

 

端を結んで首に巻いておけば落ちることもありませんし、たまにパタパタ振ると首筋を気持ちよく冷やしてくれます

 

あとは日焼け止め、絆創膏、帰りのための着替え(くつ下も)などがあればOKです

冷えピタ、冷感スプレーなどもあると便利ですね

 

現地でお金を使うシーンはありませんでしたが、万が一のことを考えて幾らかの現金と保険証は持っておくほうがよさそうです

 

□現地にはかなりの物資が届いている

 

センターでは飲水、塩飴、ゴミ袋などを、現地のテントでも、飲み物、氷などを配ってくれており持参した水分だけで不安な場合は貰うことができます

だからといって手ぶらで行っていいわけはなく、あくまで補助の役割だと捉えてください

 

□誰を信用するのか?

 

ここからはもう少し突っ込んだ内容を書きます

 

先述しましたが、五人グループを作りリーダーを決め、そのリーダーが本部より指示をもらい現場まで連れて行ってくれます

なので自然と「わからないことはリーダーに聞く」ような体制になってしまいますが、だからといってリーダーの言っていることが必ずしも正しいわけではないんです

 

この点はボランティア初心者は注意が必要です

 

具体例をあげますね

 

現場の指揮官のような方に「畳を運び出したらここに立てかけてください」と指示されたのですが、いざ運んでそこに置こうとすると別のグループのリーダーの男性に「ああ、そこじゃない、こっち」と別の場所を指示されたんです

 

そこにはベニヤ板が立てかけたあったので「ああこっちか」とそちらに変更したのですが、畳を4~5枚立てかけた時点で指揮官の方が戻ってきて「ちがいます、こっちなんです」と元々指示していた場所を指さしてきました

 

聞くと「(つい最近に)ベニヤ板と畳は別で処分することになったんです」とのことで、情報のアップデートが共有されていなかったんですね

おかげで二度手間になり重い畳を運び直すハメになってしまいました

 

また、床下に潜って汚泥を黙々と土のうに詰めていると、別のリーダーの60代ぐらいの男性が呆れたように笑いながらなにか言ってきます

その方は声が小さくイマイチ聞き取れなかったのですが、どうも「この泥は流れ込んだものではなく元々のものだからそのままでいい」というようなことをおっしゃっています

床下の配管を指さして「ほら、配管が見えてるということはそういうこと、流れ込んだ土砂なら配管も埋まってるよ」というようなことを言ってきます

 

っていうか、さっきからずっとこの作業を続けていて、やっと底のコンクリが見えてきてやる気が出てきたところなのに「そりゃねーだろ」って感じです

 

手を止めて立ち上がり呆然としていたら、先程の指揮官が直ぐ側に来たので、恐る恐る「この泥をさらうんですよね?」と改めて聞いてみました

すると「そうです、大変でしょ」とねぎらうような笑顔で「40センチは積もってると思います」と説明してくれました

 

つまり、さっきからずっとさらっていた泥は、間違いなく災害で流れ込んだものだということです

おかげでまたやる気を出して作業を続けることができましたが、あのままリーダーの言葉を信用していたら、たぶんこの作業はそこでやめていたでしょう

 

もちろん僕が作業を中断したとしても、翌日に新しいボランティアが来て作業を続けてくれますので復興が止まることはありません

 

でも、これではあまりに効率が悪いと感じました

 

誰も悪気はないんです、現場には善意しかありません

だからといって全ての方のコトバを信じるのは得策ではないようです

 

聞けばその指揮官はその施設の職員さんだそうで、そりゃこの人のいうことを聞くのが正しいはずです

「誰のいうことを信じればいいのか?」を早い段階で見極めないとムダに疲弊しかねないなー、と強く感じました

 

□やはり人手が必要

 

現地ではとにかく人手が足りません

 

なんせボランティアの実質作業時間は一日100分程度で、床下の汚泥を全てさらうだけでもまだ何日もかかるでしょう

時間が限られているのなら人海戦術で頭数を増やすしかありませんが、増えた分だけ待ち時間も増えそうで、そこはジレンマですね

一度参加すれば勝手がわかりますので、やはり同じ人間が何度も参加するほうが生産性はグッと上がりそうです

そういう意味でも、やはり近隣からの参加者が増えるのが理想ですね

ぼくは関西からの参加でしたので、3時間かけて移動して2時間作業してまた3時間かけて帰宅するのはどうにも効率が悪く、頻繁に参加するのは厳しいと感じました

 

□交通費に関して

 

今回は新幹線で移動しましたので往復で1万円以上の交通費がかかりましたが、車移動なら高速道路料金の免除が受けられるんです

「現地は渋滞しているので公共の交通機関を!」とアナウンスしている割には、このあたりはどうなっているんでしょうか

JR側が協力を申し出ればいいと思うのですが、いろいろと大人の事情があるのかもしれません

 

※2018.7.23追記 JRが低価格きっぷを(期間限定ですが)発売するようです

www.asahi.com

□改善点など

 

センターで受付をするだけで20分も並ぶのはタイムロスが大きすぎると感じました

事前にWEBでダウンロードして記入済みの用紙を持参する方式のほうが効率的かと思います

 

ただそれをすると輸送バスのピストンが追い付かず、結局待ち時間が発生するんだと思います

バスの台数を増やしてドンドン現地に送り込めるようにするのが今後の課題かと思いました(それに伴う渋滞問題もありますが)

 

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※ボランティアセンタで並んでいるとこんなメッセージがありました

 

□笑顔で活動を

 

とにかく暑いのでどうしても厳しい表情になりがちです

 

現場には被災された方々がボランティアに対してものすごく気を使ってくれており、その精神的負担を軽くするためにも笑顔で明るく振る舞うのが大事だと感じました

 

今回はボランティアの立場でも明日は被災者になるかもしれません

「困ったときはお互い様」の精神で和やかな現場にしたいものですね

 

□撮影など

 

作業終了後に現地の方が集合写真を撮ってくれました、それ以外の撮影は基本的に必要ないと思います

参加者は社会復旧システムの一部として活動しますので、それぞれの顔は見えなくてもいいんです

SNSにあげたり記念のために撮影するのは被災された方々にあまりに失礼です

被災して大変なことになっているとはいえ、その瞬間までそこには生活がありました

そのことをきちんと理解して、無神経にバシャバシャ撮影するのが「いかに非常識か」ということを強く認識しましょう

 

□最後に

 

現場に行ける人は行き、ムリなら物資の支援や募金など、それぞれができる事をすればいいと思います

でも可能なら一度ボランティアを経験しておくと「できるだけ早く駆けつけるべき」「継続して何度も参加するべき」なのが肌でわかります

そうすれば次回またどこかで大きな災害があった際には、それまでとは違う「より適切な対応」がとれると思うんです

 

また、ここまでの災害だと一人や二人がムリをしてどうこうなるようなレベルではなく、それぞれが頑張りすぎないことが大切です

瞬間的に120点を叩き出すよりも80点を継続するほうが効果的ということですね

 

ここに記載したのは発生2週間時点での情報ですので、復旧が進めば必要なものも変化するでしょう

常に情報を更新して得るように心がけてくださいね

 

ではでは

 

peraichi.com

 

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