大阪北部で大きな地震があり、多くの方が被害に遭われました
亡くなられた方に心よりお悔やみ申し上げるとともに、被災された方にお見舞い申し上げます
僕は震源から数十キロぐらい離れた場所にいましたので特に被害はなかったのですが、遠くない場所でこれだけの災害が起きるとさすがに平常心ではいられません
僕の日常には大した影響はありませんでしたが「突然それが壊れるかもしれない」という不安を感じながら一日を過ごしました
そんな時にラジオから流れてくるDJさんの声が、すごく気持ちを落ち着かせてくれたんです
仕事中は常にFM802をつけているので、それを聞きながら働くのが僕の日常です
その日のオンエアはCM中に突然「緊急地震速報」が入り、そこからは番組内容を変更して被害状況を伝えていましたので、いつもの朝がいきなり非日常になってしまいました
でもそんな異常事態の中でも、被害に遭われた方に配慮しながら、かといって暗い放送になってしまわないように、ものすごく気遣いしてくれているのが放送からヒシヒシと伝わってきたんです
「今何が起きているのか?」を把握するならテレビが最適ですので、まずは画面をつけて情報を取ろうとするのが普通です
今の時代はSNSで一般人が撮影した動画が次々とアップされますのでそれを見てもいいのですが、テレビもそれを後追いで紹介しますし、プラスしてプロの報道映像も同時進行で放映しますので、やはりテレビのほうが被害状況が逐一伝わって来ると思います
でも、そうやってある程度の情報を得て全体像がつかめてきたら、それ以上はテレビを見ていても気が滅入ってくるだけなんです
僕が普段からテレビを見ないからなのかもしれません、画面によく知っている顔があっても、それで勇気づけられることはあまりないように思います
むしろ、崩れた建物や陥没した道路などを見てると不安が大きくなってしまう
でも、ラジオを普段から聞いている方ならわかると思うのですが、テレビとは違い「話し手と聞き手の距離感」がものすごく近いんです
聞いていると自分に語りかけてくれてるように感じるし、それで安心できたり勇気づけられたりします
オンエアする側もそれを深く理解しているので、不謹慎にならないように注意しながらも少しでも元気づけようと放送されているように感じました
それも「時間によって段階を踏んでいる」のが、聴いていると手に取るようにわかるんです
※以下、親しみを込めてDJさんを呼び捨てやニックネームで記載しています
地震発生時にオンエア中のタクティの番組は、緊急地震速報が入ったあとは環境音楽のような穏やかな音が流れて中断し、15分後ぐらいに震度や震源地を伝えるニュースが流れ、更にそこから5分後ぐらいに802のスタジオに戻ってきて、内容を変更して番組が再開しました
オールディーズのような優しい洋楽を数曲流して、その時点で入ってきている情報を伝え、また穏やかな音楽を数曲流すといった感じです
出来る限り落ちいたトーンで話し、聞いている人を落ち着かせようとしているのが伝わってきますが、ずっと喋り続けるほどの情報が入ってこないので音楽でつなぎながら、電車の運行状況、道路の通行止め、停電やガスの供給などを伝え、余震に対する注意などを呼びかけていました
そうやって番組交代の11時を迎えると、次はカトマキの番組です
いつものアッパーなBGMを穏やかなものに変更し、落ち着いたトーンで被害に遭われた方を気遣い、注意を呼びかけ、番組内容の変更をアナウンスしていました
ここで、流す曲が優しい雰囲気のJ-POPや洋楽に変わりました
これは「いつもの音楽で安心してほしい」という気持ちの現われでしょう
地震発生から番組開始までの2時間で「どんな曲を流すべきか?」をスタッフみんなで話し合って、リストアップした曲のすべての歌詞をチェックしてふさわしいものを選んだんだと思います
こういうときには「検索機能」なんて大した役には立ちません
やはり普段から音楽に携わっているプロの方々のマンパワーによるところが大きいんだと思います
それぞれの曲からは「せめて耳から聞こえる音楽でほんの少しでも元気になってほしい」という気持ちが聞こえてくるようでした
選曲が気になる方はこちらを
見ていただくとわかりますが7:55の次の曲が10:13になっています
その間に流した音楽は「災害時緊急用」ということなんでしょう
そんな音楽を延々聞いていても非日常感が募るばかりです
だから、できるだけいつも通りのJ-POPや洋楽なんです
だって、ファンキーミュージックステーションですからイケてる音楽を流すのが日常なんですよ
そうやってできるだけ日常に近い曲を流しながら、入ってきた情報を伝え、被害を気遣い、余震などに対する注意を呼びかける放送が続きます
番組内容が変更されているため、いつものコーナーはありませんし、BGMも穏やかなものばかりでアッパーなものはありませんが、このあたりで暗い雰囲気は少し薄れてきていました
そして番組交代の13時を迎え、ヒロトの番組です
ここでハッキリと「耳だけでも日常を取り戻してほしい」という強い意志を感じました
オープニングのBGMもいつもどおりで、話すトーンも気遣いながらも出来る限り元気に話しているのがわかります
発生から5時間が経過して、被害状況も大体は把握できてきたこの時点で「ラジオの中にはいつもの日常があるんだ」ということを強くアピールしたんだと思います
「オレはここにいる」と何度もおっしゃっていたのが印象的でした
震度6にもなれば震源地のあたりはタンスや食器棚が倒れて家の中はグチャグチャですから、余震に恐怖を感じながらもとにかく片付けるしかありません
怪我をされて病院の待合室で長い時間待っていたり、手当を受けてから家に帰ってきて休んでいる方もきっといたでしょう
そんな時にテレビから流れる「被害の状況」や「地震発生の原因」などを見ていてもなんの役にも立ちません
5時間もあれば大体の状況はわかっていますから、それ以上見ていても不安が募るだけなんです
そんな時ラジオをつけていつものチャネルを聞いた時に、いつものDJさんが、いつものトーンで優しく話しているのが聞こえてきたら、どれだけ安心するでしょうか
自分の日常はメチャクチャになったけど、耳から聞こえるラジオには「壊されてない日常」が残っていることに、きっと勇気づけられるはずです
不運にも亡くなられた方や大きな怪我を負われた方も居るので、元気な放送を続けると批判的な意見がラジオ局に届くこともあるでしょう
そんなことは理解した上で、それでも「元気づけたい」という信念でオンエアされていたんだと思います
ヒロトさんなんて豊中にお住まいですからね、震源地から20キロぐらいしか離れておらず、一定の被害はあったはずなんです
スタッフの中にも北大阪在住の方や実家がある方もいらっしゃったでしょう
もしかすると安否の確認が取れないまま仕事に従事されている方もいらっしゃったかもしれません
それでも「ラジオの存在意義」を優先させたんです
何が正解なのかなんて誰にもわかりません
後から振り返って後悔することもきっとあるでしょう
それでもラジオマンの誇りにかけて、元気な放送を続けてくれた802に深く感謝をしたい
他のチャンネルもきっとそうだったんじゃないかな
災害時にもオンエアを続けてくれたラジオに携わる皆さん、本当にありがとうございました
ヒロトの後もマチャオくん、T.T、オチケン、といつものDJさんがそれぞれに気遣いながらオンエアされているのを聞き、胸が熱くなりました
いつもの日常がラジオから流れてくることが、こんなにも気持ちを落ち着かせてくれるとは思いませんでした
やはり災害用のラジオは必要ですね
※つけっぱなしになるのでスマホは別の目的に使用するべきです
DJの皆さん、スタッフの皆さん、本当にありがとうございました
これからも素晴らしい番組を楽しませていただきます
ではでは