スペースシャワーTVで隔週放送している「サカナクションのNFパンチ」という番組があるのですが、そこで以前「ミュージックビデオは音楽か?」という討論会をやっていました
※以降、ミュージックビデオはMVと表記
その討論会はテーマを変えて定期的に開催しており、サカナクションのボーカル山口一郎さん、音楽雑誌MUSICAの編集長、あとは公募した一般人7~8人(音楽関係者が含まれていることもある)で議論するものです
「日本人が英語詞を歌うのはどうなのか?」「音楽フェスって多すぎない?」など、皆が感じていてもなかなかメディアが切り込めない議題に対して、一般人の生の意見とミュージシャンや関係者の視点を交えながらみんなで考えていこう!という趣旨で、毎回楽しく拝見しています
「ミュージシャンは恋人の存在を公表すべきか?」の回では「オワコン(すでに価値のないコンテンツ)のCDをお布施のように購入しているのに、そこで歌われているラブソングが特定の誰かに宛てたものなら許せない、ファンをバカにしている」という意見が非常に興味深かったです
擬似恋愛を商品にしているのなら当然の批判ですし、それが嫌なら「自分が愛した特定の誰かに向けて書いた歌である」と公表すべきで、そのうえで「ファンのみんなも大事な誰かを思いながら聞いてほしい」と言うべきですよね
それで売れなくなるんなら、それまでってことでしょう
さて、そんな興味深い番組のNFパンチですが最初に書いた「MVは音楽か?」の回がどうしようもないほどつまらなかったんです
原因は「音楽とは何か」を規定せずに議論を始めた為、それぞれが自分で思う「音楽」に対して意見を言い、その結果、前提の違う意見が飛び交うことになり議論が全く深まりませんでした
例えばこんな意見
「音楽に興味がなかった友人がyoutubeの映像を見てアニソンを好きになった。MVは音楽だと思う」
「MVを見て歌詞の世界観がより鮮明に理解できた」
「MVによってその曲の捉え方を限定されるのが好きではない」
などなど
ね、それぞれ好き勝手に言ってるでしょ?
一つ目の意見は「好きな音楽探しにyoutubeは有効」と言ってるだけだし、二つ目は「自分は耳だけでは理解力が足りない」ということで、三つ目は「じゃあ見るなよ」って感じ
他にも色んな意見があったんですが忘れてしまいました
あまりにもつまらなかったんで途中から作業をしながら流し見してたんです
専門家である山口さんや編集長もそれぞれの意見に対して自身の意見を述べるだけなので本質的な議論にならず、薄っぺらい表面的な話し合いに終止してしまっただけ
あえて規定しないことで自由な意見を言ってもらおう!
という趣旨だったのかもしれませんが、さすがに途中で修正すべきだったと思います
特に山口さんはどこまでも深く思考する方だと思いますので、おそらく自分なりの答えは最初から持っているはず
それを最初に披露してしまうとその後の意見に影響を与えてしまうので、先に一般の意見を聞いたのは正解だと思いますが、
中盤あたりで自分の考えを披露して、議論を一段深いところに持っていってほしかったなーと思いました
なんでそうしなかったのかな。
あくまで一般人同士で議論させるのが目的で自分たち専門家は見守る立場ってこと?
それにしては山口さんは毎回喋りすぎるぐらい喋って意見を述べていますので、どうも違う気がする(この回もかなり喋ってました)
なんらかの意図はあったんだと思いますが上手く機能しなかった感が否めません
さて、では「音楽とは何か?」なのですが、僕が思う音楽は文字通り「音を楽しむこと」だと思っています
耳で聞く音を楽しむのものすべてが音楽だと思います
音楽家が奏でる音も音楽、波の音が心地よかったらそれも音楽、コツコツ響くヒールの音も、図書館のような静寂も、それが気持ちよければ音楽だと思うです
アカペラも音楽なのでリズムが気持ちいい短歌や俳句も音楽に含まれるのかもしれませんね
眠れない夜に聞く「時計の針の音」も音楽といえるのかも
いや、それが不快だったら雑音か・・
気持ち次第ってことなのかもしれません
んで、この規定に従うとMVは音楽ではなく「映像を使った音楽表現の一つ」ということになります
音のない映像と、耳で聞く音楽を足して表現してるってことなんでしょう
これに物語を足すと映画ですね、映像+音楽+物語=映画
映画は「音楽と映像と物語を使った表現方法」ということになります
この規定が正解かどうか?はあまり問題ではありません
人によって解釈は様々ですから、それぞれの解釈があっていいはず
大事なのは「自分はどう考えるのか?」ってことと、議論をするのならまずはキチンと規定しないと話にならない
この2点です。
皆さんが思う「音楽」はどんな感じですか?
ではでは