Tokyo FMの「SCHOOL OF LOCK!」という番組でサカナクションの山口一郎さんがパーソナリティを担当されているのですが、先日の放送は真剣に仕事をする人なら誰しもが共感する内容だったと思います
ざっくりいうと
アルバム制作にあたり、やりたい事だけやってるとファン層が非常に狭くなり活動が小さくなってしまうので、売れるためにやるべきことも織り交ぜながら活動している
でも、そればかりやってると意識が常に外向きになってしまい本当の「やりたい事」を見失うことがある
そうなると何のために音楽をやっているのかわからなくなってしまう・・
といった感じのことをおっしゃっています
これって音楽に限らず他の業種においても、真剣に仕事をやっている人なら「ああ、わかるわかる」ってなるんじゃないかな
自分がいいと思ってるモノが周りの賛同を得られず会議を通らなかったり、どうにか手を加えて根回ししてやっとの思いで商品化しても全然売れず、なのに巷で流行ってるモノにちょっと手を加えて模倣しただけのものが簡単に売れてしまう・・
「なんで?最初のアイデアほうが絶対にクオリティが高いのに」
「こんなその辺にいくらでも転がってるようなものがいいの?」
「お客ってバカばっかなのか・・」
なんて無力感に襲われたりします
そこで
①諦めて簡単な方に流される人
②もう嫌になってそれ自体を辞めちゃう人
③難しいことだけやって地下に潜っていく人
④難しいことと簡単なことを両立する人
に別れると思うんです
① はおそらく大半の人が選ぶ道で、理想を捨てる方法です
飯を食っていくために「やるべき事」にだけ目を向けて、自分を騙しながら淡々と働くやりかたですね
② はアホらしくなっちゃう系ですね
③ は理想を追い求める職人
「オレはやりたい事をやっている」という満足感は得られますが、基本的に売れないのでお金や知名度は手に入りません
※極稀に大当たりすることはあるかも
今回、一郎さんがおっしゃっているのは ④ の両立する方法ですが、これがすごく難しいんだと思います
大きな会場でライブをしようと思うとコアなファンだけでは数が足りないので、フェスやタイアップでライトユーザーを取り入れる必要があり、その層に受け入れられる「売れる曲」を作る必要があります
その作業に追われながらも自分が本当にやりたい事にも時間を割くのが、本当に難しいんでしょう
だからって「やるべき事」にたいして手を抜くわけにもいかないしクオリティを下げることもできません
そんなことをするとあっという間に没落してしまいます。
だったらやりたい事だけやって活動の規模を小さくすればいいのでは?
という話になりますが、そうすると小さな会場で小さなライブをするだけになってしまい、お金をかけた演出や舞台装置を使った「大きなこと」ができなくなってしまう
また一郎さんがいつも言っている「音楽シーンの真ん中でわかりにくいことをやる」という理想からも外れてしまいます
真ん中に居続けるには、常に売れ続ける必要があるんですね。
「売れ続けながらやりたいこともやる」がとてつもなく難しいんでしょう
葛藤葛藤、また葛藤が続きそうです
ファンとしてひとこと言いたいのは「アルバムなんて何年先になってもいいから納得のいくものを作ってください」ってことです
すでに素晴らしい曲を何曲も発表してくれているので、それを聴き込むだけでもリスナーとして十分楽しめています
ちなみに今は「スプーンと汗」「もどかしい日々」にドハマリ中。
現在作成中のアルバムは2枚組になりそうとのことですが、これから出すアルバムは全て2枚組にしたらどうかな?
1枚目は外向きのアルバムで、2枚目は内面に潜るようなアルバム
シングル曲とカップリング曲の関係をアルバムでも常に実現していってもいいような気がします
コスト的に難しいのかな?
音楽で食べていくってホントに大変そうですね
がんばれサカナクション!
ではでは