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日々考えたことを書いています。

フランク・ゲーリーは優れた建築家でありながらリアル主義の実務家だ

すでに終わってしまっているのですが、東京ミッドタウン21_21 DESIGN SIGHTでやっていた「フランク・ゲーリー展」が素晴らしかったのでちょっと書いておきます

 

ちなみにこの21_21 DESIGN SIGHT(ツーワンツーワンデザインサイトと読みます)は建物自体も安藤建築で素晴らしく、それだけでも訪れる価値があります

また、開催されている展覧会はいつも面白くアートに興味が無い方でもきっと楽しめる内容だと思います

 

オススメの場所です

 

さて、まずこのフランク・ゲーリーという人をご存知ですか?

世界的な建築家で奇抜なデザインで有名な方なんですが、僕はまったく知りませんでした

「フランク・ゲーリー 建築」でググると画像がいくつも出てくるので興味があれば見てください

なんじゃこりゃ?って建物ばかりですよ

 

展覧会はその奇抜なアイデアが「生み出される過程」にフォーカスしたもので「アイデアを生み出すときはどうやるのか?」「それをどうやって形にしていくのか?」といったことがわかりやすく説明、展示されていました

 

それらもものすごく興味深かったのですが、一番印象的だったのは「建築家は実務家である」という姿勢でした

こういった奇抜なアイデアでクリエイティブな仕事をする人って、「予算や納期を度外視してひたすらクオリティを追求しそう」と勝手なイメージを持っていました

 

でも実際は全く違うようです

 

この建物

Beekman Tower fr BB jeh.jpg

「8 スプリース・ストリート」というマンハッタンにあるビルなのですが、表面がゆがんでてかなり面白いデザインです

 

でも実はコレ、建物の表面を覆っているパネルは3種類しか使っていないんです

「普通のパネル」と「規格パネル」と「特注パネル」のたった3種類でこんな独創的な見た目を創ることができるんですねー

 

最初にデザインした時には予算オーバーになり修正が必要になったそうです

金額は当然「普通<規格<特注」なので最も高額な特注パネルを「全体の何%に抑えれば予算をクリアできるか?」を再度検討し、デザインの奇抜性を損なわないよう3Dコンピューター画像でシミュレーションして予算内に収めたそうです

 

ちなみにこの「建築デザインを3Dで行う」というのもこの方がパイオニアだそうで、デザインを形にする「方法」までクリエイティブしないと優れたものは実現できないということなんでしょう

 

そういった工程を踏んで使用するパネルの「種類ごとの枚数」が決まれば発注なのですが、その際に「ロスを極限まで抑える努力」をするんだそうです

パネルの1枚1枚にシリアル番号を刻印し現場での取り違えを防いだり、そのパネルの輸送自体もニューヨークの慢性的にな渋滞を避ける「深夜の時間帯」に行っているんです

 

それによって「現場の人的ミスによる誤発注」や「管理不足による緊急の追加発注」を抑え、「材料到着の遅れによる納期の延長」も防ぎ、経費削減を実現しているんです

 

ニューヨークの現場ではそういったロスで「コストの30%」が無駄になってるんだそうですね

3割ですよ3割!ものすごい規模のムダです

 

だから最初の段階でビルのデザインだけでなく、パーツの発注、現場での管理方法の決定、輸送ルートやその時間帯、までトータルでクリエイティブするんです

そうすればこんな独創的なデザインのビルでも、通常のタワービルと同じ予算で建てることができるんですね、スゴイ!

 

展覧会ではこういった「仕事の進め方」が動画で丁寧に説明されており、それがものすごく面白かったんです

実はこの日ちょっと寝不足であくびを噛み殺しながら見て回ってたんですが(すみません)、途中でちょっと疲れてベンチで休憩するとそのまま寝てしまいそうで「動画を観るのはヤバイな~」って思ってたんです

 

でもいざ観だしたら体が熱くなるほど興奮してきて、そのまま2回連続で観てしまいました

 

優れた建築家は同時に優れたビジネスマンであり、予算や納期に至るまでをトータルでクリエイトするんですね

アーティストでありながら実務家であるその姿に惚れ惚れしました

 

同時に自分の仕事のやり方を問われているような気がしました

それはきっと自身の生き方にも通じるんでしょうね

 

ではでは

 

フランク・ゲーリー 建築の話をしよう

フランク・ゲーリー 建築の話をしよう