音楽とか、考え事とか

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日々考えたことを書いています。

ライブチケットの高額転売は、誰が加害者なのか?

ライブチケットの高額転売問題について考えてみました

 

指定席のライブにはあまり行かないのでオールスタンディング(立ち見)のライブを例にして書いています

 

詳しくない方に軽く説明をすると

 

僕がよく行くライブはオールスタンディングで、キャパ2000人ぐらいなら安いバンドで3000円/枚ぐらい、高くて6000円/枚ぐらいです

(ワンドリンク500円はここでは割愛します)

 

チケット発売日の何か月も前からHPやプレイガイドで先行予約が何度もあり、運良くゲットできれば早々に安心できますが、システム使用料や発券手数料などの名目でチケット代とは別に500円/枚ぐらい取られたします

 

結構な手数料ですが人気のアーティストだと発売日の朝10時になった瞬間に争奪戦が始まり、電話もつながらない!HPも開かない!なんてことがザラにあり、やっとの思いでつながった時には完売している、ということになりかねません

 

だから手数料が高いのを承知のうえでも先に確保しておかないと「どうしても行きたいのチケットが手に入らない」ということが起こってしまいます

 

さて本題に入りましょう

 

そういった「競争率の高いライブチケット」は必ずと言っていいほどオークションなどに売りに出されます

そして入札が繰り返されるうちに落札価格が「定価の2~3倍」なんてこともよく起こります

 

人気アーティストのチケットはそれを求める市場があるので、そこで利ざやを稼ぐ「転売屋」と呼ばれる人たちがいるんですね

 

そりゃそうです

 

4000円で確保したチケットが10000円で売れたら、利ざやは6000円です

チケットは一度に2~4枚まで取れることが多いので、6000円×4枚=24000円の売り上げになります

 

ひと月に3回行えば月収7.2万円の仕事になり、副業でこれぐらい稼げればけちょっといい生活をおくれますよね

 

でもこれだと公式でチケットを買えなかった人が、後から非公式に高額で落札して運営外の人間に上乗せ料金を支払ってライブを見ることになってしまいます

 

だから最近ではそれを防ごうと、チケットに名前を印刷するようにして(購入時に入力が必要)入場時に抜き打ちで本人確認をするアーティストが出てきています

 

全員チェックすると入場にものすごい時間がかかってしまうので、ランダムに選びチェックすることで転売を抑止しようという試みですね

 

ただこれは転売で「買う側」を抑制しているだけであって転売している側はなんのリスクもありません

転売が発覚したらおそらくそのアカウントは凍結されるんでしょうけど、また新たにアカウントを取れば何の問題もない

アカウント作成には住所や名前を入力する必要がありますが本人確認書類を求められるわけではありませんので、最初からデタラメに入力すればいいんです

テキトーに書いてフリーのアドレスを取得すれば新しいアカウントの出来上がりで、また同じやり方で稼ぐことが出来るんですね

 

まさにイタチごっこってやつです

 

チケットの郵送受け取りも増えてきていますが(デタラメな住所では受け取れない)転売が少なくなった印象はあまり感じませんので、たいした効果はないのでしょう

 

何より問題なのは、チケットが取れなくて泣く泣く高額落札したファンが、いざ当日になるとゲートで止められてライブを観れない可能性があることです

 

もう泣くしかありませんね、当日券なんてあるはずもないので泣きながら帰るしかない

 

でも仕方ないんだ・・・、と運営側は考えています

 

そういう気の毒な事例を作ることで「もしかしたらバレるかもしれない」と購入側に抑制をはかり、購入者が減ることで転売をなくしていこうと考えているのでしょう

 

これどう思います?

 

バレて止められたのはそのアーティストのかなりのファンですよね

そんなコアユーザーを見せしめに吊るし上げることで「購入者」側を威圧する

 

このやり方が本当に正解なんでしょうか?

 

そもそもアーティスト側の戦略がこの問題の大本の原因ですよね?

なのに「運営者側も転売の被害者」ヅラしてるから不快感があるんです

 

例えば5000円のチケットで2000人キャパのライブをするとしましょう

完売すれば売上は1千万円です

 

「チケットは発売1分で即完!ライブ会場は熱い熱気に包まれてそれに応えるように圧巻のパフォーマンス!」

 

 

という感じでアナウンスしたいから、わざと安い価格設定にして即完させてるんですよね

そうやって即完させることでアーティストの価値を高めようとしてるんじゃないの?

 

「最高のライブだった(らしい)のにチケットが取れなくってものすごく悔しい!次回は必ずチケットをゲットするぞ!!」

 

というファンを量産するための戦略ですが、これって売る側の勝手な都合では?

 

5000円×2000人で1千万円の売り上げですが、これは1万円×1000人でも同じです

価格を高めに設定すれば完売しなくても利益を出すことができるんです

 

なぜそうしないかというと答えは簡単

 

チケットがすぐに売り切れないとアーティストの価値が下がってしまい、その後の売上に影響すると考えているからです

また「会場が満員にならないと熱気ムンムンにならず盛り上がりに欠ける」とアーティスト側が考えているのも理由の1つでしょう

 

だから倍率を高めるためにチケット価格を安めに設定して、参加できないファンを大量に発生させ次回の購買につなげているんです

 

つまり「リスクを恐れて適正な価格で勝負せずにわざと安い価格設定に甘んじている」と言い換えることができます

 

本来なら発売日の時点で8割ぐらいのチケットが売れて、その後じわじわと売れてゆきライブ数日前にソールドアウトするのが理想なんじゃないの?

 

どうしても行きたいファンは先行や発売日当日にゲットして、ライブのCMを聞いて「行ってみようかな」と思った人間もギリギリ購入することが出来るようにすべきじゃないでしょうか

 

そのための価格設定を真剣に考えて欲しいんです

少しぐらい売れ残ることがそんなに「悪」なんでしょうか?

 

5000円で2000枚売るよりも8000円で1500枚売るほうが200万円も売り上げが多くなります

そっちのほうが売るほうも買うほうも、双方が幸せになりそう

 

売る側があまりにも「完売」にこだわりすぎている気がしてなりません

 

「あのバンドはあのキャパの会場を1分で即完させた」というのは宣伝文句としては秀逸ですし価値も高まるでしょう

でもそんなことで価値を高めるよりも「価値の高いライブ」をするほうがよっぽど大事な気がします

 

そっちのほうがビジネスとして健全です

 

もちろん「いい仕事をすればお客さんは来てくれるはずだ」なんてバカなことを言うつもりはありません

だからといって安売りは安易すぎます

 

そんなことをするから転売屋が蔓延るんです

適正価格で販売しないからファンを泣かせてしまうんです

 

チケットが完売しなければ基本的に転売(で儲けること)は成立しません

正規の価格で購入できるのにわざわざ高いお金を出す人なんていないからです

 

整理番号が小さい数字だと早く入場できて最前列を確保できたりしますが、それに対して(転売チケットで)お金を払う人はそれでいいと思います

「できるだけ前で見る」ことに価値を感じている人たちなので、好きにすればいいんです

 

そもそも一度購入したチケットがキャンセルできないシステムにも疑問を感じてしまいます

チケットを取ったのに急に行けなくなると転売するしか方法がないのも問題なのでは?

 

 

なにより「プライシング」は最も大事な経営戦略の1つです

 

商品の価値をきちんと見極めて市場でどれぐらいで売る(勝負する)のか?

その判断に経営者は真剣に頭を捻っています

 

安く売って品薄になることで価値を高める戦略なら転売についてとやかくいう権利はありません

だったらもっと高く売れよ、って話です

 

こういった戦略を立てているのは本当は誰なのか?

運営側もわかってるはずなのに改革できないのは何が邪魔しているのか?

 

外からじゃわからないんですから、中にいる人達が風穴を開けるしかないと思うんです

 

「価値を高めて高く売る」

 真剣に考えてみてほしいと思います

 

ではでは